- 村井優介
Q. 不動産を所有していた父が亡くなりましたが、現在相続人である子供3人で遺産分割協議中です。この不動産から生ずる収入は長男の名義の預金口座に入金されていますが、長男の収入になるのでしょうか?
最終更新: 2018年8月1日
A.遺産分割が決まるまでの間、相続財産は相続人全員の共有財産となります。そのため、相続人全員が、それぞれ法定相続分に応じた収入を受け取ることとなります。
(解説)
相続財産について遺産分割が確定していない場合、その相続財産は各共同相続人の共有財産となります。そして、その相続財産から生ずる所得は、各共同相続人にその相続分に応じて帰属することとなります。
遺産分割協議が整わないため、共同相続人のうちの特定の方がその収益を管理しているような場合であっても、遺産分割が確定するまでは、共同相続人がその法定相続分に応じて確定申告することとなります。
なお、遺産分割が確定した後に生じた所得については、その不動産を相続する方の所得となります。しかし、未分割であった期間に法定相続分に応じて各相続人が受け取った所得について、その不動産を相続する方が他の相続人にその期間の所得を請求することはできません。そのため、分割の確定を理由として、所得税の修正申告や更正の請求をする必要もありません。
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実務上のポイント
遺言などでその不動産を誰が相続するか決めてある場合、不動産所得は最初からその不動産を相続する相続人のものになります。後継者が決まっていて、もめない相続にするためにも遺言を作成していただくことをお勧めいたします。
なお、相続後は不動産収入に限らず、税金や光熱費など被相続人に関係する様々な入出金が必要となります。遺言がない場合には、このようなお金を管理するためにも、相続人の代表の方の名義で、管理用口座を作っていただくと精算しやすくなります。
民法898条