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110万円暦年贈与の改正はどうなった?令和4年度税制改正大綱の内容と行うべき対策について

Updated: Jan 21




令和3年12月10日に、令和4年度(2022年度)税制改正大綱が与党より公表されました。

公表前から大幅な改定が行われるのではないか?といわれていた「暦年贈与による相続税の回避」について、話題となった理由と改正の有無について解説いたします。




年110万円までの暦年贈与は贈与税がかからない



贈与税の暦年課税において、1人の人が、その年の1月1日~12月31日までのあいだにもらった財産の合計額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対して、贈与税がかかります。

つまり、110万円以下であれば、財産を受け取っても贈与税はかかることなく、申告を行う必要もありません。

亡くなったときに相続税がかかるのであれば、亡くなってしまう前に毎年110万円ずつ、銀行振込などにより贈与を行って、税金を払うことなく財産を移動させようというのが、実際によく使われている節税方法です。




「110万円の暦年贈与が撤廃!?」話題になった理由



前年・令和3年度税制改正大綱において、今後の検討事項として、富裕層の「暦年贈与による相続税の回避」を問題視するような内容が記載されました。

該当部分について抜粋した内容は、以下のとおりです。


【令和3年度 税制改正大綱 p18、19一部抜粋】

わが国の贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から、高い税率が設定されており、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある。一方で、現在の税率構造では、富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を防止するには限界がある。

諸外国では、一定期間の贈与や相続を累積して課税すること等により、資産の移転のタイミング等にかかわらず、税負担が一定となり、同時に意図的な税負担の回避も防止されるような工夫が講じられている。

今後、こうした諸外国の制度を参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化の防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。



富裕層が、その財産に見合う相続税を納めるように税率が設定されているにもかかわらず、その納税を回避しているという現状について、問題視するような内容となっています。

これを受けて、今回改正が行われているのではないかといった内容の記事を多くのメディアが取り上げました。




暦年贈与の改定はどうなった?今後の対策について



結論、令和4年度税制改正大綱の中では、具体的な改正案は出されませんでした。しかし、前年同様、富裕層が相続税を回避することが可能となっている現行の制度については見直すべきである、と言及されています。また、富裕層だけでなく相続財産の少ない層に対しても、相続まで待たずに生前に贈与できるような制度にする必要があることが協調されていました。

今後は、「暦年贈与」に限定した話ではなく、こういった現状について何らかの形で見直しが行われると考えられます。


(見直しの例)

・相続時精算課税制度をもっと多くの方が利用できる形に見直す

・相続開始前3年以内の贈与加算について、加算期間(5年や10年など)を増やす

・相続開始前3年以内の贈与加算について、加算対象者(孫など)を増やす

・暦年贈与に所得制限などをもうける

など


近い将来に見直される可能性が高いとは言え改正は行われなかったため、引き続き、110万円以下の贈与による節税方法は有効な手段であると言えます。

今回「贈与がなくなるかどうか」が話題に上がったことで改めて相続税のことを考える機会としていただき、ご自身の相続税がいくらかかるのか試算してみましょう。その後、いくらずつ贈与するともっとも節税できるのかシミュレーションを行ってみましょう。



【令和4年度 税制改正大綱 p10、11一部抜粋】

わが国では、贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されている。このため、将来の相続財産が比較的少ない層にとっては、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある一方で、相当に高額な相続財産を有する層にとっては、財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら多額の財産を移転することが可能となっている。

今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。

あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。





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