
自分が生きているうちに、所有する土地に子供の家を建てて住ませようと考えている方も多いと思います。そこで問題になるのが、生前に子供たちに与え名義変更をすべきか(生前贈与)、土地の所有権は変更せず亡くなってから相続してもらうか、ということです。 この受け渡しのタイミングによって、相続に関わるお金は大きく変わってくるのです。 そこで今回は実際にご相談いただいたケースを元に、解説していきたいと思います。
愛知県日進市からのご相談内容

今回は愛知県日進市にお住まいの方から、お子さんへの土地の贈与についてのご相談。
ご相談者はY子さん(65歳)。
「所有する土地に、子供であるT男さん(35歳)が新居を建て、相続したい。」
というご相談内容でした。
最大の判断すべきポイントは、
「土地の名義をすぐに変更すべき」か、
「相続まで待った方がよい」のか
ということです。
子供にわたす土地は、生前贈与ではなく相続

「相続専門の税理士グローズ」としては、Y子さんの場合は「死後の相続によって土地を渡す」という方法をご提案させていただき、手続きを進めることになりました。
つまり土地はY子さんがこのまま保有し、ご子息のT男さんはその土地にご自宅を建てます。
その後Y子さんが亡くなった際には相続により、土地の所有権はY子さんからT男さんになる、といった流れです。
では何故、生前贈与はなく、相続を提案したのか?
相続専門の税理士グローズが判断したその理由は、以下のとおりです。
1.生前では贈与税がかかるが、死後の相続税は0円の可能性がある

生前に「土地の名義変更をした方がよいのでは?」とのご相談内容でしたが、ここで注意したいのは"名義を書き換える"ということは、"贈与する"ということ。
つまり、Y子さんが亡くなる前に名義を変更してしまうと、確実に「贈与税」の対象となります。
ちなみに今回のY子さんの土地は、およそ1,000万円。
この土地を1年で贈与したという条件で手続きを行った場合、支払わなければならない贈与税は約180万円に上ります。
これに対し、死後の相続の場合は亡くなられた方の全体の財産に対して課税額が決まります。相続税というと高額なイメージがありますが、いわゆる遺産の"総額"が少ない場合には、相続税はかかりません。
実際にY子さんの場合も、相続財産から計算してみたところ、相続税がかからないことが分かったのです。
2.変更にかかる登録免許税・不動産取得税の額も、贈与の方が高い

土地の名義を変更する際には「登録免許税」と「不動産取得税」が、かかります。
これは贈与により取得する際には高く、相続の方が格段に安くなっています。
ちなみに今回のY子さんの土地の評価額1,000万円でかかる登録免許税・不動産取得税の場合、贈与時はおよそ35万円前後ですが、相続時であれば4万円程度。
10倍近い税金の差がありますので、相続のタイミングを選ぶ大きなポイントの1つになります。
以上2つの観点から、今回のご相談内容については「相続の際に名義変更する」方が良い、とご提案させていただきました。
Y子さんには相談して良かった、と大変お喜びいただきました。
相続を選択する際の注意点

今回は相続により所有権を移すことをお勧めしましたが、単純に誰でも死後に相続すれば良い、ということではないことに注意していただきたいです。
1.相続するのが孫の場合
例えば、Y子さんの土地に新居を建築するのがY子さんの子供ではなく孫だった場合。
お孫さんがY子さんの相続人でなければ、Y子さんが亡くなってもお孫さんには土地を相続する権利がないからです。
相続する権利のある、お孫さんのお父さんやお母さんが一度「相続」し、お父さんまたはお母さんの相続のタイミングで土地を取得することになります。
そのためY子さんから直接相続したい場合には、遺言書の作成や養子縁組といった方法を検討する必要があります。
2.相続財産が多額の場合
今回のケースではY子さんが所有する財産は比較的少額で、1,000万円の土地は相続税に関しては非課税で相続することができましたが、それ以外にも多額の財産があった場合には大きく異なってきます。
財産が多く相続税が多額になった場合、相続時に納税資金(現金)が不足することがあります。
その際に空いている土地に親族の新居を建築してしまうと、その土地を売却するという選択が非常に困難になります。「なぜあの土地に建てさせたのか」と親族間の大きな争いに発展してしまうケースも多いため、要注意です。
このように、親族の新居の建築を検討する際には、必ず相続税のシミュレーションをして税額を把握しておくことがとても重要です。
相続時精算課税制度を使った贈与

Y子さんは、財産がそれほど多くなく、相続税がかからないため、「相続時精算課税」という制度を使って贈与をするのも1つの選択肢になります。
「相続時精算課税制度」とは、"相続の時に精算する" 制度で、贈与を受けたタイミングでは贈与税はかかりません。その代わり、貰った財産は相続税の計算の際に財産として含まれ、その土地にかかる相続税を払うことになります。
この制度を利用した場合、T男さんは2,500万円までの財産を受け取っても、贈与税を払う必要はないことになります。
(ただし、贈与税の申告は必要となりますので注意が必要です)
もともと相続税がかかるような多額な相続財産がある方にとっては、この制度を使って土地の贈与を受けることは大きな税金上のメリットはありません。
しかしY子さんの場合は相続税がかからない財産総額であったため、この制度を利用して生前に土地を渡すのも一案かと思われます。また、土地の名義を直接T男さんに移すことができるのもメリットでしょう。
相続の相談は「相続専門の税理士」へ
Y子さんの事例は、よくご相談を受ける内容でしたので、多くの方が困っているだろうということで今回、記事にまとめてみました。
「財産があまり多くない」というご家庭であっても、遺産争い・相続トラブルは十分に起こりうる話です。
事前になるべくトラブルの可能性は潰しておき、亡くなった際にはスムーズに相続が行われるよう準備しておきたいものです。
また国の税制も年々変化しています。以前の定番だった手法が法改正で使えなくなっていることもあります。(参考:住宅取得等資金の贈与について)
一人で抱え込んだり、知り合いが行ったから、と安易な相続は多額の税金の差につながることもありますので、絶対に避けましょう。
『相続専門の税理士法人グローズ』は、地元・愛知県の不動産情報に強く、土地の評価技術の高さが一番の強み。日進市以外でも、瀬戸市/ 長久手市/ 東郷町/ みよし市/ 尾張旭市
名古屋市(名東区/ 守山区/ 緑区/ 南区/ 港区/ 中川区/ 天白区/ 昭和区/ 瑞穂区)も対象エリアです。
生前の対策、既に発生している相続などタイミングを問わずご相談お受けいたします。
いくつか解決事例もホームページに掲載しておりますので、ぜひ一度ご覧ください。
土地の相続でお悩みでしたら、心から納得・安心するために『相続専門の税理士法人グローズ』へ、お気軽にご相談ください。
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